「build windows」と「Windows8」レポート
はじめまして、UX統括部でiOS関連の開発を行っている衣川憲治です。
現在私は、アメリカはカリフォルニア州アナハイムで行われているMicrosoft社の開発者向けイベント「build windows」に参加中です。
「build windows」は、昨年までは「Microsoft Professional Developers Conference (PDC)」と呼ばれていたイベントです。 現地時間の9月13日から16日までの4日間開催され、初日のキーノートでは「Windows8」が発表になりました。 既に公式サイトに動画が公開されています。 早速現地からイベントの詳細レポートを!と思ったのですが、既にいくつかのニュースサイトで詳しい記事が配信されています。 イベントの詳細やキーノートについてはそちらにお任せしつつ、私は開発者としての視点でレポートを書いてみたいと思います。
Windows8
初日の講演は、すべてWindows8関連のものでした。 会期中に行われるテクニカルセッションもほぼ全てWindows8に関する内容となっています。 Web屋さんでスマートフォン開発をしている自分が注目したのは、
- WindowsPhone7以降に採用されたMetro Styleが、Windowsのメインデスクトップとして採用された。(従来のデスクトップ、UIが使えるモードも存在する。)
- Metro Styleの開発環境として、従来のC#、VB、C++に加えて、JavaScript+HTMLで開発ができるようになった。
- タブレットも基本的にはデスクトップと同じWindows8が搭載される。
という点です。
JavaScriptでWindowsのアプリケーションが書ける日が来るなんて! と驚いたのですが、開発者としては非常に喜ばしいことだと思います。今最も注目されている言語でもあるJSが、更にその重要性を高めることとなるでしょう。
先日世界初のWindowsPhone7.5が搭載されたスマートフォンが発売されたばかりですが、WindowsPhone8ではJavaScriptを使ったアプリケーション開発が可能になるのでは? と期待しています。
デスクトップホームのUIがWindowsPhone寄りになったため、今現在は少々分が悪いWindowsPhoneの大きな巻き返しも十分考えられます。 デスクトップOS、タブレット、スマートフォン間の強力な連携と、共通のUIによって、大幅なユーザーエクスペリエンスの向上が期待できます。 非常に楽しみですね。
VisualStudio
JavaScript/HTMLによるMetro Style Applicationの開発が可能になったということで、VisualStudioもJavaScriptに対応しています! また、現在WindowsPhoneアプリケーション開発ではSilverlight環境を利用するのですが、SilverlightアプリケーションのUI開発ツールでExpression Blendというものが存在します。 こちらもMetro Style Application開発用として、HTML5/CSS3対応となりました。 個人的には、BlendのHTML5/CSS3対応がうれしい限りです。 WindowsPhone7.5の開発はSilverlightなのですが、Blendは欠かせない存在です。 ちょっとしたコーディングなら、VisualStudioを使うまでもなくBlendだけで完結させることができます。 また、VisualStudioとの連携が非常に強力で、デザイナーさんにBlendを使ってデザインをしてもらい、エンジニアはVisualStudioを使ってコーディングに集中することもできます。
実はbuildへの参加者全員に、Developer prototype hardwareとして、SAMSUNG製のWindows8タブレットが配布されました!
もちろん私も入手することができ、早速いじり回しているところです。
(2日目以降は、皆タブレットを脇に抱えてテクニカルセッションを受けていました。)
このタブレットに、なんとWindows8向けVisualStudioの開発者プレビュー版が含まれています。
早速いじってみました。
まずは、VisualStudioを起動して、テンプレートをビルドしました。
使用する言語はもちろんJavaScriptです。
JSで Metro Style Application が出来上がっています!
次に、Blendを使って、CSSをいじってみます。
色が変わっていますね。
さすがにタブレット・タッチパネルで開発はきついですが、iPadでは開発環境禁止だったので、少し嬉しいです。
ただでさえ非常に使いやすい開発環境だったVisualStudioですが、JavaSctipt対応、BlendのHTML5/CSS3対応によって、よりいっそう強力なツールに進化したことは間違いないと思います。
ちなみに、JSでもパフォーマンスはほとんど変わらないとのことです (MS談)。
MS社の本気度を垣間見ることができます。
終わりに
Windows8は、新しいUIに挑戦もしている野心的なOSと見せかけて従来のWindows7との互換も完全に保っています (MS談)。 タブレットもTablet Editionが存在するわけではなく、そのままWindows8が動きます。 今現在スマートフォンやタブレットアプリケーションの開発をしているエンジニアにとって、かなり要注意な存在なのではないでしょうか。 UIのMetro Style推しにより、今は少し出遅れ感のあるWindowsPhoneのシェアがどう動いていくのかも気になるところです。
JavaScript/HTMLによるアプリケーション開発が可能になったため、ブラウザを介さずとも、Webアプリケーションを作るようにネイティブアプリケーションを作ることができます。
Windowsという無視できないプラットフォームがこのような戦略をとったことにより、Web屋さんとしてはネイティブアプリ対応を「する/しない」の選択に迫られます。
Web屋さんでiOSアプリを開発しているエンジニアとしては、「ネイティブ対応をする意味」を考えさせられます。
簡単ですが、初日のレポートでした。
白米と焼き魚が食べたい。